遅くてごめん

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金曜の午後、俺はとうとう我慢が出来ずに半休をもぎ取って新幹線のホームに立っていた。 遡ること、一週間前。 幼なじみで、恋人の杏は唐突に言った。 「私、月曜から研修出張で一ヶ月系列の地方に行くから。帰ってくるまで暫くは会えないね」 なんてことないように言われた内容は俺の度肝を抜いた。 「え? 初耳だけど!? なんでそんな大事なこと直前に言うかな?」 そんな俺に、杏は溜息をつきつつ言った。 「ほら、健がそうなるからギリギリまで黙ってたのよ。このさい、いい機会じゃない? たまには離れて過ごしてみましょ? いままでずっと一緒だったんだもの」 まさかの発言に青天の霹靂。 杏は、俺と一緒にいるのが嫌だったのだろうか? どんどんネガティブになってく俺に、トドメの一撃だった。 「たまには互いに一人になって考えるのもいいと思うのよね? ま、一ヶ月だし大丈夫でしょう!」 ドヤと胸を張りつつの彼女の発言に、俺は 沈没させられて浮上もままならぬうちに、彼女は研修出張に旅立ってしまったのだった。
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