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たどり着いた、目的地付近でバスを降りて橋を歩いていると、向こう側に会いたかった杏が見えた。
「杏!」
俺は一気に走って、そのにいる杏を抱きしめた。
「もう、まさか一週間もしないうちに来るとは思わなかった」
抱きしめた俺の腕の中で、そんな言葉を言うけれど杏の手が俺の服をつかんだ。
「杏。俺、杏がいない生活は無理。耐えらんない。 いままでハッキリしなくて、遅くなってごめん」
そこで、区切り腕を少し緩めて俺は杏の顔を覗き込んで告げる。
「杏、俺と結婚してください」
そう言って、俺はズボンのポケットから小さな箱を取り出してその蓋を開けて見せた。
「いつの間に準備してたのよ。びっくりするわ」
そう言った、彼女の目にはうっすら滲むものが見える。
滅多なことでは、泣かない彼女のその様子に少し、焦ってしまう俺に、彼女はクスッと笑って言った。
「しょうがないな。私もなんだかんだ健がいないと寂しくってダメみたいだよ。初めて離れて気づいたよ」
そう言うと、一雫流れた涙を拭うと彼女は笑って言った。
「私で良ければ、喜んで」
もう一度、きつく抱きしめて俺は彼女に囁いた。
「杏じゃなきゃダメだから。愛してる」
こうして、幼なじみな俺たちは長い付き合いの後、初めてのプチ遠距離で結婚を決めたのだった。
Fin
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