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〜暗黒と光の空間〜
(あなたはとんでもない過ちを犯した)
(それは理に反する事)
(何も考えなかった)
(お前は間違えた)
(愚か者め)
(卑怯者)
(あなたは決して許されない)
(許されない！)
(永遠の罰を与えてしまおう)
(それしかない)
(決定だ)
(決定だ！)
「きゃぁあああああああああああああああ！」
(苦しめ！)
(苦しみなさい)
(もっとだ)
「いゃあ！いや！嫌ぁああああああ！」
(そうだ)
(そうだ！)
(閉じ籠めてしまえ)
(アイツと同じように！)
(閉じ籠めてしまえ！)
「うぅ。あああ！」
(クルシメ)
(苦シメェェェ！)
ーーーそこに落ち着いていて、重たい、だけれど力強い声が響いた。
(…少し待ってはいただけませんかな？)
(オマエは)
(貴方は)
(…彼女を刻の牢獄に閉じ籠める、それは至極当然の罰かも知れん。しかし、それは彼女に本当の意味での償いをさせる事になりましょうか？)
(それはどういう？)
(どういう意味ダヨ？)
(…聞けば彼女はまだ若くして…人の王に命令されて…深い考えも持ち合わせぬまま、有り余る力を使ってしまったと言うではないか。そのせいで自身も不幸な目に遭ったそうだ。何も知らぬまま牢獄に投じられても、反省する糸口さえ掴めまい。ならばどうだ、己の身で物事を十分に理解させ、その仕出かした事の収集をつけさせては)
(危険すぎる)
(この無法者を野に放つのか！)
(…勿論、自由の身にするという訳ではない。少女の身の上、この『冥王ハーデス』が保証する)
(ざわ…)
(まさか、あれが…。主神が一柱ハーデスとは…)
(ざわ…)
(………それ、その子の魂を抜いてやった。この魂のみをこの世界に縛り付けておけば十分であろう？守役には誰が適任か……うむ、時の神よ大切に管理されよ)
(あ、ああ。(任せておくれよ。))
(何と大胆な！)
(ずるい)
(そんなのありかよ)
(…むうぅ。文句のある者がお在りか…？
ーーさて少女よ、お主の魂は魔王と同じく時空の狭間に封じ込められた。それはお主がこの世の理を歪めてしまった事に対する報いなのだ、解るな？だが、全ての行動が制限された訳ではない。寧ろ時空に関する事象にはより深く干渉することができる。そのせいでお主は数多の試練に引き寄せられる運命になるだろう)
(おっと、ここからは管理の任に就いた僕が説明しなきゃならないよ。キミの魂は僕が封じ込めたから時空のどの時間にも居ない、だからこそ、どの時間にも居る事が出来るんだ。人には理解が難しいかな？但し、それも不安定で気まぐれな場合があるね。いきなり予想もしない、特定の時間と場所に飛ばされてしまう事があると思う。でもね、それって一見でたらめに見えるけど、キミにとって縁の深い出会いの場所なんだ。多分、何をどう試そうと、そこから離れる事は出来ないはずさ。キミはそこでキミのやるべき事を成し遂げなくてはならない)
(…そうだ、そういった全てがお主の償いに繋がるのだ。そういえば誰も彼女の罪状を申し渡していないのではないか？よければ我が告げるが。
ーーおほん。時魔道士の少女は、魔王たる膨大な魔の存在を、輪廻転生の理の環から不当に解脱させ、時の神の許しを得ることなく刻の牢獄に投じた事を以って之を神罰の対象とすーー
大体はこういう感じだが、どうだ、意味が解るか…？)
「私……知りませんでした。時空魔法はただの魔法の一種だとばかり…」
(…人にはそう見えるのだ。人の世界と神の世界は違う。時空に干渉する時空魔法は神の世界にも大きな歪みを生むのだよ。神の領域を侵してしまうと当然、神罰を下さねばならん。お主はその行動で罪を償うのだ。お主がやるべき事は何だったか？)
「はじめは…。そう魔王を倒す事だったのに…」
(…そうだ、頭の切れる娘だ。魔王は完全に時の狭間に隠れてしまって、400年も世界に姿を現さない。あの膨大な魔素の塊を400年も封印するなど、お主も大した器の持ち主だ……と感心もできんのだが)
(そんな冥王が言うように簡単な話ではないよ。時空移動を使う者には掟がある。キミも知ってるよね？過去に戻ってやり直しても、時が同じ結果を求めて修復しようとする力が働いて、結局変えたかった未来は変えられない。変えたいと思う想いが強ければ強い程ね)
(創造主は何も求めてはいない！)
(これ以上宇宙の塵を増やすな！)
(…黙れ小童ども！我ら主神らに向かって何たる口の利き方であるか！
ーー事情は解るな。苦難は多々あろうが、試練を乗り越えてみせよ。ここで見たこと聞いたことは、夢の様な形でお主の記憶に微かに残しておく。困った事があれば冥府を訪ねればよい。冥府への転送の魔法陣を授けよう…。では、な)
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