ファーストコンタクト

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ファーストコンタクト

『ビヨンド』は一年前から減速を開始しており、既に『プロキシマ・ケンタウリ』の太陽系内に居た。 もう『プロキシマb』まで五十万キロを切っている。前方に大きな惑星が肉眼でも見える。それは地球と同じ青い惑星だった。 突然、残っている近距離通信用のアンテナが電波を捉えた。僕はモニターに映るその周波数を見て驚いた。 「三一ギガヘルツの周波数帯。まさか・・電波を使える異星人が居るのか・・?。しかもこれはKaバンド・・。通信プロトコルまで同じなんて・・」 突然、コックピットにマスターワーニングの警告音が鳴り響いた。僕が警告表示を確認すると驚くべき事態が発生していた。 「ハッキング? デジタル通信回線を通じて『ビヨンド』のメインコンピューターへ侵入しようとしているのか・・?」 僕は操縦席に備え付けられたキーボードを取り出し、ファイアーウォールのコードを修正しようとした。しかし修正したコードがあっと言う間に上書きされ、メインコンピューターの制御を外部に乗っ取られてしまった。 『ビヨンド』は僕の制御を離れ、勝手に軌道を修正していく。そしてプロキシマbの高度二万三千キロの静止衛星軌道に入った。前方に巨大な施設が見えてくる。 「あれは・・ 軌道エレベーターか・・。この異星人はどれだけ進んだ技術を・・?」
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