夢、それとも・・

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「私達は地球の人間です。異星人ではありません」 僕は目を見開いた。彼のその言葉は僕の想像を超絶していた。 「少し説明させて下さい。横に座って宜しいですか?」 僕は頷いた。男性が笑顔で僕の横に腰を降ろす。テイトが僕の膝の上で僕の右手を舐めていた。 「貴方が地球を発って十五年後、私の祖父の会社が『縮退炉』を完成させ、そこから発生する巨大な人工重力を使って空間を捻じ曲げる技術を実現しました。それにより我々は超光速(ワープ)航法の技術を確立したのです。超光速(ワープ)航法では地球からここまで一瞬で跳躍(リープ)出来ます。この技術により人類はこの星に二十年前に到達することが出来ました」 「えっ?」 「貴方の船は船内時間で約五年を掛けてここに到達していますが、地球時間では四十年が経過しています。我々はその間に、この星を『縮退炉』の膨大なエネルギーを使ってテラフォーミングを行い、地球の植民星にしました。今ではこの星に十二億もの人が暮らしています。『プロキシマb』は鉱物資源が豊富で、資源を衛星軌道に上げて地球に送る為、惑星の四箇所に軌道エレベータも建設されています」 僕は声も出なかった・・。たった十五年で超光速(ワープ)技術が確立されたのも驚きだったが、既にこの星に十二億もの人が住んでいるとは・・。 僕は彼に問い掛けた。 「貴方のお祖父(じい)様の会社が『縮退炉』を開発したのですか・・。とんでもない技術を持った会社ですね。会社はアメリカの企業ですか?」 その男性は首をゆっくりと振った。 「祖父の会社は日本企業です。会社の名前は安曇工業。今は安曇重工と言う名前の世界一の複合企業(コングロマリット)に成長して、私がCEOを務めております。貴方が自分の命を掛けて母に送った資金で安曇工業は倒産の危機を乗り越え、祖父は植物状態から回復して『縮退炉』の開発に取り組むことが出来ました。全てのお陰です」 僕はえっ?と思った。? あれから四十年が経っている。もしやこの男性は・・?
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