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それから僕達とテイトは夕方から空を見上げるのが日課になった。
それは三十分ほどの時間だったけど夕焼けから星空までを見ることが出来た。
僕は星座や恒星の名前、そして宇宙の魅力を彼女に話し続けた。
彼女はいつもそれを楽しそうに僕の隣で聞いてくれていた。
そして、いつの間にか僕達はお互いをかけがえのないパートナーと考える様になっていた。
茜は砂浜の先に在る豪邸に住んでいるお嬢様だった。
彼女の父は、一代で安曇工業を規模は小さいながらも日本一の技術力を持つ企業に育て上げた辣腕の経営者、安曇浩二さんだ。
しかし、彼は両親が居ない僕を蔑んだりせず、一人の大人の男性として接してくれた。
そして彼の技術者としての知識と夢は僕をいつもドキドキさせた。それが彼の会社を日本一の技術を持つ企業にした最大の原動力だと僕は思っていた。
そんな彼を僕は本当に尊敬していた。
僕を捨てた両親に僕は一つだけ感謝していることが有った。
それは僕に素晴らしい頭脳を与えてくれたことだ。
僕は高校、大学と一番の成績を取り続けていた。そして夢であった宇宙を目指す為、アメリカの宇宙開発企業スペースYに採用された。スペースYは既に有人火星探査を実現しており、次は太陽系外への探査を計画している。
正にこれは僕の天職だった。
そして同じく茜は安曇工業に就職をしていた。
一人娘の彼女は、安曇工業の将来のリーダーとなる為に父と同じ技術者を目指していたんだ。
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