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出逢い
高校二年生だったある日、僕がいつもの様に夕方の砂浜で空を見上げていると、突然、背後から声が聞こえた。
「ちょっと、テイト! 待って!」
僕が振り返ると、隣の女子校の制服を来た女の子が仔犬を追い掛けて走って来ている。その仔犬は僕を見つけると一目散に膝に飛び乗った。そして僕の顔を物凄い勢いで舐める。
「ああ、ごめんなさい! テイト、ダメよ!」
女の子はそう言うと、仔犬を僕の膝から抱き上げた。
「大丈夫だよ。犬は大好きだから。この仔はポメラニアンだよね?」
僕が笑顔を見せると彼女も安心した様な表情を浮かべる。
「本当にごめんなさい。そう。ポメラニアンのテイト。テイトは人見知りだからいつもは他人に懐かないんだけど・・本当に珍しいわ・・」
彼女は満面の笑顔を僕に向けた。その笑顔に僕は暫く見惚れてしまった。女の子にこんなにドキドキしたのは初めてだったかもしれない。
「貴方、いつもここで空見上げているわよね。私、毎日テイトの散歩している時に気になってたの」
「この砂浜が大好きなんだ・・。そして星空を見るのが・・」
彼女が「フーン」と言って僕を見つめた。
「私は安曇 茜。ねぇ、今度、一緒に星空見てもいい?」
僕は大きく頷いていた。鼓動を速めた心臓が僕の頬を熱らせた。
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