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何がなんだかわからないまま部屋の中に引きずり込まれると、ケントは埃っぽい畳の上に押し倒された。
ジムで鍛えた自慢の身体の上に、華奢な二つの身体がのしかかってくる。
「わぁ。カッコいい……菖蒲、この人ちょっとタイプかも」
ケントの右側からぐっと体重を乗せてきた子が、うっとりと目を細めて呟いた。
「ほんま、色男やわ」
左側にいるボブヘアーの子が訛り言葉で賛同しながらケントの胸板を妖しげな手つきで撫で回してくる。
ケントはゴクリと唾を飲みこんだ。
突然舞い込んできた甘い誘惑に思考が全くついていかない。
しかし、惑乱する頭の中とは裏腹に飢えた肉体は既に反応を見せていた。
二人の痴態を目にした瞬間から……。
「あーん菖蒲、我慢できない」
しっかりとテントを張ったケントの局部に菖蒲の艶めかしい太腿が押し付けられる。
「キクも……」
熱い甘い息を吐く二人の男娼に挟まれて、ケントは硬直したまま目を見開いた。
自分の内側、深い場所で何かがゆっくりと立ち上がる気配がしたからだ。
それはどろどろとしたもので、一度暴れだすとケントの理性など軽く吹き飛ばしてしまう恐ろしい奴だ。
ケントはそいつの正体を知っている。
色情症に悩まされている間、ケントの内側で生まれた恐ろしいモンスターだ。
そいつはとてつもない衝動を抱えていて、ケントはこれまで何度も自分の内側で抑えつけてきた。
しかしこの誘惑を目の当たりにして、未だかつてないほどの勢いでそいつの存在が大きくなっていく。
まずい……。
「ちょっと待って」
ケントは慌てて制止を促した。
しかし男娼二人はケントの言葉を聞いても、頭の上に疑問符でもつけたような表情で見下ろしてくる。
「ちょっと待て。聞いてるのか?」
「キクちゃんこの人何て言ってるかわかる?」
菖蒲がケントのボトムスのジッパーを下げながらキクに訊ねた。
キクはさぁ?という顔でシャツのボタンを外していく。
そして唐突にあ!と声をあげた。
「早う挿れさせてくれ言うてるんちゃいますやろか」
「え? キクちゃんすごい! 頭いい!」
菖蒲がキクに向かってキラキラした眼差しを向ける。
褒められた事が嬉しいのかキクはえへへと照れ笑いを浮かべた。
もはや呆れて言葉も出てこない。
しかしキクの翻訳は強ち間違いでもなかった。
引きずり出されたケントの陰茎は、今にも爆発しそうなほど膨れ上がり菖蒲の手の中でビクビクと脈打っている。
穿つ場所を求める凶暴な雄の塊。
その、今にも爆ぜそうな限界ギリギリのものに菖蒲とキクの指が絡みついてきた。
「あは、お兄さんのコレ、えらい大きゅうて元気やわ」
「菖蒲、触ってるだけでイッちゃいそう」
指を這わせながら、妖艶さを含んだ二人が挑むような眼差しでケントの表情を窺ってくる。
挑発を受けてまたケントの中のモンスターが一段と大きくなった気がした。
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