—逆光— 気に入らなかった光(ミステリー)

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 連休の前日……  その夕方、美大を後にしたフミヤは、そのまま東京駅へ向かった。  駅前の横断歩道を渡りかけたが、近くのコンビニに入った。 「駅のヤツは、やたらと高かったりするからな……」  適当な弁当等を買ってから、改札に向かった。  そして南下する電車に乗った。  席でその弁当を食べながら、走る列車からの景色を楽しんでいた。 「こういう旅も、いいもんだな……」  予定どおりに、千葉県の某市にある実家に着くと、まず母が笑顔で迎え、父や妹も歓迎ムードだった。  その、二才下のミキは教育大学生だった。  フミヤの実家は、数ヶ月前にリフォームしたということで、モダンな二階建てとなっていた。  フミヤが初めて見たのは、メールに添付された写真だったが、親父、やったな……! とものだった。  リビング(となり)の食堂での夜食時、東京での生活状況をフミヤが報告すると、母の澄子(すみこ)や妹のミキは大爆笑だった。  すると父の富也(とみや)が真顔で、 「フミヤ、お前の目標は何だ?」  するとフミヤは、一瞬ギョッとして、 「まだ……考えてないよ……」 「そうか……。しかし、人生は長いようで短いぞ」 「……ん……」  やがて、それぞれ、あくびをし始め、自室で就寝することにした。
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