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「それでどうする?」
「……買うわ」
瑞希は鞄の中から現金で二十万を引っ張り出し、里香の方へ差し出した。
「ありがとう。それじゃあこれね」
ガラスの小瓶を受け取った瑞希は、それを鞄に入れていたハンカチにくるみ、慎重にしまい込んだ。
「それにしても、一服盛る度胸があるなら、話しかけるぐらい容易い物だと思うけれど……」
里香の言葉に、瑞希は首を左右に振った。
「あの子の姿を見ただけで、心臓が痛くなるぐらい鼓動が早くなるの。告白なんてとても……」
「シャイだものね……」
「ピュアなもので……」
「……まあ、私はお金を貰えればいいけどね。とりあえず、使い方のレクチャーしときましょうか」
そう言って、里香は瑞希にいくつかの注意点を話して聞かせた。
真剣な顔でそれをメモに取り、瑞希は何度も頭を下げながら店を出て行った。
その背中を見送りながら、里香はぽつりと呟く。
「ピュアってシャイの上位互換なのかしら……」
知った事かと言わんばかりに豆炭は尻尾を振った。
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