旅立ちの絆

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「おいおい。約束だっただろう。それにお前たちは植物の頭を切っては、飾ってるじゃねぇーか。何も躊躇うことはねぇーだろ」  僕は黙って拳を握りしめる。確かに彼の言うとおりだった。それでも僕は、そう簡単に行動に移す決意が出来ないでいた。 「いいか、お前がやってくれなきゃ、俺はある意味で犬死だ。子孫も残せねぇー植物にはなりたくねぇんだよ」  頼むよぉという懇願の言葉に、僕は唇を噛み締める。一旦、家に入るとハサミを持って彼の元に戻った。 「さよならを言うんじゃねぇぞ。俺はこれからもずっと生き長らえていくんだからよぉ」  そう言って、白い頭を重たげに揺らす。僕は涙を目に溜めてうんうんと頷いた。 「ありがとよ。一思いにやってくれ。お前を信じてる」  僕は優しく葉を撫でてやると、ハサミを茎に差し入れてぱつんと切る。  茎と綿毛だけになった彼は、もう喋ることはなかった。  僕は約束通り、見通しの良い丘に上がると綿毛に息を吹きかけて飛ばしていく。  遠く、遠くへと、風に流されていく綿毛の群れを見送りつつ、来年の春の訪れを僕は心待ちにするのだった。
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