経験は、光となる

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「思えば昔もこんなことがありましたね」  ホイットニーの後ろから淡々とした声が聞こえた。振り返るとそこには目を吊り上げて仁王立ちするセーファスの姿があった。 「な、何のことかな?」  ホイットニーはそう答え、ばつの悪そうな顔を見せた。 「大長老は以前時代劇にハマって、バトルマスターへの転職を希望していた男の子を侍にしてしまったことがありましたね。ご丁寧に肩に桜の入れ墨まで入れて」 「あ……その……遠い昔のことは忘れたのう」  ホイットニーの目が右へ左へと泳ぐ。 「まさかとは思いますが訊きます。大長老は生の警察の持ち物を見たいがためだけに如月さんを警察官したのですか?」 「さ、さぁ、犯人が分かる時間じゃ。急がねば急がねば」  ホイットニーはそそくさと逃げるようにテレビの目の前へと向かう。テレビをつけるとザッパーンと高波が寄せては返す映像が流れていた。そしてその音をバックにして 「貴女のアリバイは崩れたんです。話してもらえませんか?」  と、刑事が犯人の女を問い詰めていた。 【終】
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