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FILE01 UFOが落ちた町
『乗客の皆様。ようこそ、ロズウェル国際空港へ』
機内に、飛行機が空港に着陸したことを知らせるアナウンスが流れる。
うたた寝をしていたわたしは、寝ぼけ眼をこすりながら、座席のシートベルトを外そうとした。でも、『安全のため、シートベルトの着用サインが消えるまではシートベルトを外さないでください』という案内が英語で流れたため、慌ててシートベルトから手をはなした。
……いけない、いけない。
わたしだけシートベルトを外していたら、キャビンアテンダントさんに怒られて悪目立ちするところだったよ。
これから新生活が始まるアメリカでは、ひっそりと、だれにも注目されないように、生きていかなくちゃ。
「まちがっても、新聞にのっちゃうような事件は絶対に起こしちゃダメ。暗黒だった小学生時代を繰り返すのもダメ。いるのかいないのか微妙なくらい存在感を消して、アメリカの中学校生活を平和にすごすのがわたしの目標なんだから。透明人間になるのよ、昴七美13歳!」
わたしは自分にそう言い聞かせた。でも――。
日本にいたころの嫌な思い出が、わたしの頭からなかなか消えない。
鈴木さんたち小学校の友達はあの事件以来、わたしのことを「化け物」と呼ぶようになった。
そう罵られるのも、仕方ないことなのだろう。鈴木さんたちにはずいぶんと恐い思いをさせてしまったし……みんなが言うように、たしかにわたしは普通じゃない。
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