秋風…

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秋風…

季節はもう秋だというのに、まだまだ暑い… もしかしたら、ほぼ毎日いるコイツが暑苦しいせいなのかもしれないが… 夏風物語を読んだ方ならご存知だろうけど…突然、現れたオバハンこと若にゃんのおかげなのかは謎だが、俺のダーツバーに風が吹き始めた…そして俺にも! 孤高の城だった俺の店も、もうすぐ2周年記念を迎えようとしている…そして、例の大会の日も近付いた。 今度こそ、俺は注目を浴びる!オバハンと約束した通り、ダブルスでもシングルでも入賞して…やってやるぞ!という自信に満ち溢れている。誰かと深く関わるのが苦手な俺は、ダーツだけあればいい…投げ込んで努力して結果を出せば良い…そう思って孤独に続けていた…だけど、少しずつ何か気持ちの変化?周りの変化?で、バージョンアップして強くなり、新たな風を吹かせている。 まぁ、俺の元々の実力もあるのだろうけど…今は負ける気がしない! 本当は怖かった… ダーツがあればいい…努力し続けていれば裏切らない結果がついてくる…そう思いながらも、もしも…結果がついてこなくて、続けてきた努力が無駄だと思ってしまったら…それが不安で投げ続けて、自分の小さな城を築き、保とうとした…でも、それじゃダメなんだと挑戦してみようと思った。 その俺の気持ちの変化に気付いたのか、姫と大ちゃんカップルが、俺を今回の身近な目標とする大きな大会や他の店の大会や遠征やらに誘ってくれるようになった。 今までなら、誘われる事もなかったし…自分も挑戦しようとは思わなかった…今までなら、当たり障りのない返事で断っていたかもしれない…でも、今は何でもやってみようと思える。 何もしないより良い…しない後悔よりする後悔と頑張ってるヤツが、目の前にいるのを見てきて…シンプルに負けてらんねぇ…そう思ったんだ。 変化を求め、野心があるはずの俺が…ある意味で1番…変化が苦手で挑戦する事から逃げてたのかもしれないと気付いたからだろう。 こんな真面目な事を語っているが、本質は変わってないつもりだ!オバハンの扱いは相変わらず面倒だし、俺はそんじょそこらのプロを名乗ってるやつより上手い!昼間の仕事では役立たずと言われたり、彼女もいないが…俺の生活でダーツが1番なのには変わりない!! そんな俺が俺自身、カッコいい!イケてる!と本気で思っている。
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