居酒屋デートもどき

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居酒屋デートもどき

「たまには良いね♪どっか違うとこで飲むのも♪」若にゃんは、少し元気が出てきたのか、それともやっと酔ってきたのかジョッキ片手に勝手に俺のつまみを横取りしてくる。 「おい!それ、俺の!まぁ、今日は許してやるか…」周りから見たら楽しそうなカップルに見えるかもしれないと思った時に、ふと気が付いた。 あれ?俺って最後にデートらしいデートしたのって、いつだっけ…女の子と居酒屋に2人で来ても、こんなにあーだこーだと話をしてただろうか?ほぼ毎日一緒にいて一緒に飲んでいたりするから、いつも通りなんだが…違うとこで飲んでいるとデートみたいじゃないか!?待て待て、そもそもオバハンは女の子ではない!それに、さっきから互いの好きな人の話しかしてない! 「だけどさぁ~デートみたいだね(笑)」俺の心の声が聞こえたかのようにオバハンが喋り出す。 「やめてくれ!誰がオバハンとデートじゃ!俺はアカリ姫と一緒に来たいんだよ!!」焦って否定した。 「分かってるって!私だってネンジと飲みに行きたいもん♪ねぇ、マルはどんなデートした事あるの?アカリ姫とは、どこに行ったりした?」オバハンの言葉に改めて思い返してみる… 「ドライブとか?居酒屋とか?」これといって、どことか思い出せない…アカリ姫と仲良くなってきたのかなぁと思ってきた後、音信不通になってしまったし…1年ぶりの夏の再会からも出会えてない訳だし…よく考えれば、会えたとしてもノープランだ…別に俺は優柔不断だとか決められないタイプという訳ではないのだが、ずいぶんデートしてないせいなのか想像できなかった。 「つまんないなぁ~そんなだから、誘っても断られるんだよ~そんなんじゃぁ、いつまでたっても彼女ができないよ~(笑)」人の気にしてる事をついてくる若にゃんは、いつもの口の悪いオバハンの調子を取り戻し始めたようだ。 「良いんだよ!俺は来週末も大ちゃん達に誘われてハウスに出る予定とかフェスとかも行くし、モテモテで忙しいんだよ♪」予定はあるのだが、誘われたり一緒に行くのはみんな男だという事は黙っておこうと思った…どうせ言わなくても、オバハンにはお見通しなんだろうけど…
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