ダメ店主の意気込み

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ダメ店主の意気込み

予想していた人数の倍以上のお客さんに俺はテンパりまくり…喜ばしい事ではあるが、これではドリンクもスムーズに出せず、ゲームも始める事が出来ない…焦れば焦るほど、動けなくなる俺… 「まったくダメ店主だなぁ~」 次々とヤジが聞こえてくるが、もはやこれもご愛嬌…常連客が動いてくれ、なんとか予定よりも遅れはしたがゲームオン出来そうだ。 チームは毎度の事ながら、トランプでペア決め、いつもの倍の人数なので予選はゼロワンのみで進め、俺の店の大事なプロプレイヤーのチャンプやベテラン勢が仕切ってくれる。 やっぱり、俺は人をまとめたり仕切ったりするのが、どうも苦手だ…グズグズと始まった予選もいよいよ終わりが見えてきた。 今回は2周年だし奮発して賞金を封筒に入れようとした時に気付いた…あっ!封筒の準備をするのを忘れてた!!あんなにオバハンに前日までの準備で言われていたのに… 封筒がない訳ではない…毎度お馴染みの俺の汚い字で…いや、心のこもった字で封筒に順位やメッセージなどを書き忘れているだけだ。気付かれないように、パッと終わらせようとコソコソしているとカウンター越しに気配を感じた。 「………」 無言でオバハンがのぞきこんできた…散々、言ったのに忘れてたろ?!という目つきで俺を見る。まったく、まるで恐ろしい小姑だ… 「もっとキレイに書いてよ?今回、初参戦の人が貰うかもしれないし、私の大事なコレクションになるんだから♪」と嬉しそうにオバハンはニヤリと笑った。 「え!?また残ったの??」てんやわんやで、どのペアが残ったのか把握しきれてなかった俺は驚いた。 これだけの人数で、毎回違う人とペアを組んでるはずなのに勝ち上がってくる…本当にオバハンは勝負強い女だ。勝負強いというのもあるが、オバハンは何より相方の扱いが上手いのかもしれない…そんなに面識のない相方だとしても、相方の癖や性格を見抜き、相方の気持ちの乗せ方が上手い…さほど上手い相方と組んでる訳でもないのに、いつも以上の力を引き出しているような気がする。 だが、俺も予選は突破している。ダーツの上手さなら負けない!今度こそ!調子に乗らせないように、このオバハンのペアには勝ってやる!そして、グズグズでダメ店主なイメージ脱却!と意気込んだ。
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