宴の終わり

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宴の終わり

とっくに日も暮れ、それでも賑やかな声は響き、やっと全試合は終了した… 試合の攻防戦を知りたかった方もいるかもしれないが、そこを書き始めるとかなり長くなり、俺としては結果発表といきたいので閉会式にうつりたい。 「それじゃあ!3位入賞…アラキくん&俺のペアーーー!!」 大きな拍手と歓声… こんなに時間がかかって、小さな子供連れの人もいるのに自分達の試合が終わったり早く予選落ちした人達も、みんな残ってくれていた。去年の周年ハウスより、断然の盛り上がりとちゃっかり俺も入賞できた喜び♪ 最高の気分だった…次のペアを呼ぶまでは… 「2位入賞…ナム&若にゃんペア!!」 ドヤ顔で封筒を受け取るオバハン…またしても俺は、自分の城の試合で勝てなかった…悔しいが仕方ない。これが勝負の世界ってやつなんだろう…なんて大人ぶってみる。 「1位は…タバッチ&タブチさん!!」 まさかの大会で俺がペアを組んで出たタバッチペアが優勝だった。まだダーツを始めたばかりだったはずのタバッチが、前回一緒に出た大会の時より上達していて驚いた。明らかに、あれから練習を重ねていたのが分かって嬉しかった。 俺も負けてられない…もっと練習して強くなって、今日ここへ遠くからでも参加してくれた人達や協力してくれた人達がまた来たいと思えるような城にしたい…そう誓った。 まぁ、ある意味…オバハンの社交的で人懐っこい性格のおかげと俺とオバハンの夫婦漫才のような店の恒例のやり取りを見て、ハマってくれた人や…本当に付き合ってると勘違いしてしまった客もいて… 「お疲れ様~今日は楽しかったよ~面白い彼女に宜しく~お幸せに~」などと声をかけ少しずつ帰っていくお客さん達。 「いやいや、付き合ってないから!!違うから!!誰かいたら、紹介して~」 そんな俺の言葉なんて聞いてもらえる訳もなく、俺の運命の女子との出会いは、また遠のいてしまったような気もするが…お店の宣伝と集客としては、過去最高の日だった。 大ちゃんが持って来てくれた祝いのシャンパンでしめくくり…俺の城の最高の宴が終わった。 ゆっくりお疲れ会でもしようかと思った頃には、なんだかオバハンは珍しく急いで帰り支度をしていた…かなり飲んで、楽しく騒いでいたオバハンが最後まで残らずに先に帰ろうとしてるのは、珍しい…そう思いながらも、俺は当然のように明日も来るであろうオバハンを黙って見送った。
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