オバハンの職場

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オバハンの職場

LINEで、聞いてくれてありがとう♪とオバハンが送ってくれる感じが、いつもと違って…何かしら気になっていた。 前々から、今日は初めてオバハンの働いてる飲み屋に行く約束を俺はしていた。 普段ならダラダラ開けてても良い、週末の俺の店も早めに片付けて、オバハンに連絡する…せっかくオバハンのとこに行ってやろうと俺が言ったのに、電話越しでは忙しそうに…かつイライラした口調の雑なオバハンの対応… 心の広い優しい俺だから良いものの…何て奴だ!と思いつつ向かうとオバハンは、きちんと席を確保して準備してくれていた。 オバハンは、ネンジくんきっかけで俺の店で、ダーツを再開してから通いつめてくれてるのは有り難いが、さすがに金もかかるし、職探しをしていたのもあり、仲の良い知り合いの飲み屋で働き始めていた。ちゃっかり、俺の店休日の水曜日を埋めるかのようなシフトでダーツの出来ない日は働く!かのように… さすがに、週末は忙しいらしいから出てくれと店側から言われて出ているようだったが、1時間だけ出勤時間を送らせて、俺のとこで少し投げてから仕事に出ている。なんやかんや言うて、オバハンもダーツありきで仕事をしてるって事に俺も感銘を受けていた。 店でも人見知りせず、ノリ良く周りと打ち解けれるオバハンの事だから、きっと楽しそうにやってんだろうと思ったが…行ってみたら、オバハンは…ずっとバタバタしていた。 常に動いている…酒や料理を準備したり、片付けにまわって、洗い物しまくったり… オバハンだって、接客しながら飲んでいるはずのに、俺の店の時とは違って全く動きが違う… 「おい!?飲んでんのか?!せっかく来たんだから、一緒に飲もうぜ♪」と俺が声をかけても、すぐにあっちこっちと動き回る… オバハンが働く店は、今まで俺は来た事はなかったが、よく店の名前は聞いた事はあって、昔からある有名なとこで、基本はママと娘が出ている。常に女の子が付いてくれる訳でもなく、その代わりにママが作ってくれた料理が腹一杯でてきて、リーズナブル…夜中を過ぎたら、酔ってはっちゃけるママと睡魔に襲われる娘が親子ゲンカになる…それが定番の光景のようになっている…まるで、毎度お馴染みの~的な笑いを誘う新喜劇のような面白い店だった。 お客さん達も、宅飲みしてるかのように、常連と新規客、たまに来る客がアットホームに和気あいあいとしている。 その空間は俺の城にも求めるもので、なんだか俺は一瞬で気に入ってしまった。 「マル!飲んでるの?!!目が合いてるんかね!?しっかりしなさいよ!?(笑)」とかとか軽く毒づくママの強い口調がいきなりとんでくる。ウザいぐらい遠くから声がとんできても、なぜだか嫌じゃない感じのノリに俺も調子にのる。 それなのにオバハンは、笑ったり盛り上げたりはしてるものの、ずっと忙しそうだ…まぁ、別にオバハンとは、いつもゆっくり俺の店で飲めるんだし、それは良いのだけど…せっかく来たのに…という気持ちもある!それで何度かオバハンに酒をすすめるが、ついたグラスのビールを涼しげな顔でひょいと飲み、オバハンはまた仕事モードに戻っては、あっちこっちのテーブルに声をかけ、見て回っているのだった。
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