受け入れる心

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受け入れる心

「なに見てるの~?新しいお酒?」まるで家にいるかのように、ソファで俺はくつろぎながら携帯を眺めてると俺の横にオバハンが座る。 「リキュールってのを増やそうかなってね…前から気になるやつがあってさ、見た目も好きなんだよね…ただ一気に全部揃える予算は無いから、どれにしようかな…ってね」キレイな色のボトルたちをスクロールしながら見ていた俺にオバハンは指さした。 「これ!これが良い♪」オバハンが好きなマンゴーだの、色が綺麗だからとブルーキュラソーだの、楽しそうに勝手に選ぶ…まぁ、どうせ最初に飲む客、第1号には間違いないので選ばせてやるとして…俺もこれとこれを選んでと… そういえば、俺とオバハンは意見が食い違ってイライラするような事が減ってきた。前にオバハンが言っていた…ダーツと酒と酒のつまみは気が合うね♪と…確かに、そこは認めよう。俺は人の意見を受け入れるという事が気付けば自然に出来ていた。 別に人の話を聞かないタイプでもないのだが、そんなに人の意見に左右されたり影響されたりはしない…自分のしたいように…家族や誰かを困らせるような自由人でもない。 まぁ…しいて言うなら、親としては兄貴のように早く結婚でもしてくれとは思っているんだろうけど… 「ほんと仲良いよね~♪本当に付き合っちゃえば~?(笑)」姫と大ちゃんが相変わらず俺達を冷やかしてくる。 「ダーツと酒とつまみの相性は良いけど、絶対ないから!!!」2人で同時に否定するツッコミ…もはや、定番ネタだ。 大会の日は、誘ってくれた姫と大ちゃんの車で一緒に行く予定だ。何時に出発するか3人で、楽しくうち合わせする…大会に出るなら、いつか自分1人で挑もうなんて前は思っていたのに、久しぶりだ…若い時にマーチンさんとダブルスを組んで試合によく出ていた頃を思い出す。 みんなでワイワイするのは好きな方だし、毎年バーベキューや飲み会とかフェスに行ったりと盛り上がる計画は大好きだ!だけど、歳をとって、自分の店を持って、どこかダーツに関してだけは変なプライドがあったのかもしれない… ダーツは自分との戦い…集中して狙った的に自分が握った3本の矢を投げる。その1本1本は自分との戦い…たとえダブルスだとしても、この自分の1本で信頼して組んでる相方を救えたり… そう…信頼する相方…仲間を俺は自分から作ってなかったんだ。マーチンさんに誘われ、周りの仲間に連れられて、いろんな試合に出てた俺は、自分からは作ってこなかったんだ…上手く作れなくて、歳や店を言い訳に勝手にプライドという理由で誤魔化していた。 忘れかけていた…仲間と一緒にダーツを楽しむ事を…変なプライドなんていらない…もし、持つとしたら自分の投げるダーツの1本1本にだけで良い…なんてカッコつけてはみたが、結果を出したい!挑戦だ!成長だ!進化だ!
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