仲間がいる事で…

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仲間がいる事で…

「それで!どうだったの!?楯は!?普通、店に持ってくるのを忘れちゃう!?ここに飾るんでしょ!?もーーー!ちゃんと店に飾るんでしょ!!てかさ、もったいぶらずに早く教えてよ!けっきょく、どうだったのーーー!??」予想通りオバハンは、うるさく面倒くさい…数ヶ月前なら話す気すら無くなるぐらいなのに、今は慣れてしまったというか…扱い方がなんとなく分かってきた。 「だから…ゴメンって……」すぐ正直に謝ると許してくれるオバハンに、ひと通りの説明をして、ダブルスの順位を告白した… 「3位!!?」オバハンの言葉に、俺は叱られる子供のように覚悟を決めた…言い訳しようか、どうしようか、何て反論しようか、考えていると… 「スゴいじゃん!だから、大会とか試合とか、どんどん出たら良いって言ったやん♪マルはさ、強いんだから!もっともっと出てかなきゃ!楽しかったんでしょ!?」そう言って、自分の事のように喜ぶ若にゃんは想定外だった…だが、ここで終わらないのが口の悪いオバハン。 「でもさ…約束したじゃん!優勝か2位が良いって!!なんなん!?3位って…どうせ…調子にのって、飲み過ぎたんやろ?楽しくなって、浮かれて酔っぱらっちゃったんでしょ?本当に…マルは、もったいないなぁ…」まるで見ていたかのように、オバハンにはお見通しだったようだ…ブツブツ文句も言いつつも、若にゃんは喜んでくれた。 入賞したが、約束した順位にはなれなかった…また日々、練習だと俺は若にゃんと乾杯し、次の試合に行く話をした。 大ちゃんと姫も楽しかったみたいで、さっそく来週もある他の店のハウスにも誘ってくれた。大会で知り合った他の店舗のオーナーさんからもハウスに誘われたり、まるで売れっ子にでもなったかのような気持ちだ。 他の店に行く事は、以前からもしてはいたが、自分の気が向いた時や気分転換したいなぁという時ぐらいで、昔からの知り合いの店だったり、わりと近場の新しくできたと聞いた店に偵察に行くぐらいで…けっきょく、よそはよそ!俺の店は俺の店!と何の刺激にもならなかった。 それが大会で連絡先を交換したオーナーさん達と話していると酒の話や店舗の状況、すごく刺激を受けた…見に行ってみたい!お世辞か社交辞令かもしれなくても、来て欲しいと言われて…俺は行ってみたい!と思った。 かなり遠くの店舗で少し迷ったりもしていたら、また大ちゃんが運転するから良いよ♪一緒に行ってみたいと言ってくれ、その言葉で一歩踏み出せる…なんだか心強い…一緒に楽しめて、一緒に共感してくれる仲間が今の俺にはいる。 口は悪いし、常に優勝しろだの2位以上を要求してくるオバハンも、なんやかんや言っても応援してくれ、自分の事のように喜んでくれる。 本当に人との出会い…改めて、つながりの大切さに気付かされ、この大会で得るものは多かった。
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