親世代

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 翌日の昼休み再び探検団は会議を開いていた。朝までは相変わらず「両想い」と揶揄されていたが、会議を開く頃にはタカシにリーダーとしての権威が復活していた。それゆえミホが急に教室に入って来た時にはタカシは苛立ちを覚えた。 「聞いて聞いて、とってもいい場所を見つけたわよ。天狗岩っていうところなんだけど…」 案の定「いよっ! ご両人」などと茶化しが入ったが、タカシは気にならなかった。一つの単語のみに気を取られていた。 「ミホ、今天狗岩って言ったか?」  ミホも呆気にとられたような顔をしていた。 「え?タカシ知ってるの?」  他のメンバーもキョトンとしていた。一瞬の沈黙の後シュウヤが訪ねた。 「おいタカシ、なんだよそれ」 「いや、俺も昨日父さんから聞いたんだ。新倉山にある天狗岩ってところが探検にもってこいの場所だってね。でも場所は教えてくれなかったんだ。自分たちで調べろってさ」  タカシはヤスオの方を見た。ヤスオはそれだけで分かったのか自分の胸をドンと叩いてみせた。 「それを調べろって言うんだね。君のお父さんは分かる人だねぇ。探検は事前調査が楽しいんだよ」 「事前調査が間違ってたら元も子もないけどね」  シュウヤの皮肉に対しヤスオは「君は人任せで調べようとすらしないじゃないか」と言い争いが始まりそうだったのでタカシが機先を制した。 「そういえば他にも神隠しだとか天狗だとかも言ってたよ。なんでも父さんの同級生が行方不明になったんだって。見つかったらしいけど」 「えっ」  ミホが素っ頓狂な声を上げた。 「それ、たぶん私のお母さんだ」  探検団全員が驚いた声を上げた。 「タカシのお父さんとミホのお母さん同級生だったのかよ」  言ったシュウヤがハッと気づき、頬が緩んだ。 「全くもってすごい偶然だなあ。運命ってやつか」  タカシ自身これには驚いた。今まで全然聞いたことがなかった。ミホもどうやらその様子だ。しかし考えてみるとそれほどおかしくないのかもしれない。タカシの父と母もそれぞれこの町の出身であり、都会に出ていかない限りはこの町に住みつくことも多いようだ。わざわざこんな田舎に外から来る者もいないので、必然的に同年代の人はみな同級生ということになる。なんたる田舎だとタカシは改めて痛感した。  ミホはしばらく考えに耽っていたが、徐に口を開いた。 「私、お母さんがなんで行方不明になったのか知りたいな」  ミホは真剣な眼差しをタカシに向けた。  ヤスオは空気を読んでか知らずか自信満々に返事をした。 「合点承知の助ェ」
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