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寮長は揶揄ってるだけだと思う。
実際に僕に何かをするとは思えないんだけどな。
そう思ったけどハル君を安心させるために「わかったよ」と、僕は答えた。
結局また好きって言えなかったな…。
それからも、ハル君とは毎日一緒に過ごしていたけどなかなか好きって言えるチャンスもないままだった。
ハル君は毎日のように好きだよって言ってくれるのに。
どうして僕は素直に言えないんだろう。
「雅美、どうかした?」
昼休みに中庭でハル君と日向ぼっこをしていたらハル君が急に僕の顔を覗き込む。
ちょっと色素の薄い綺麗な瞳に見つめられてドキドキしてしまった。
今かもしれない。
二人きりで、この距離感。
今が告白のチャンスかもしれない。
「ハル君、あのね………」
意を決して話し始めた僕の言葉に、突然大きな声が被さってきた。
「一条君!あの…今ちょっといいですか?!」
サラサラのロングヘア。
同じ学年かな?なかなかの美人が頬を染めてハル君に話しかけてきた。
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