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クラスでのオリエンテーションも終わり、次は寮の入寮式だ。
クラスから移動する人の波について行けば今度は迷わないぞ………と、思っていたのだけれど。
途中でトイレに寄っている隙にみんな移動してしまって廊下には誰もいなくなってしまっていた。
しまった……。
えーと、体育館があっちの方向だから……うん。きっとこっちが寮の方向だな。
朝の記憶を頼りに昇降口を出て寮の方に向かって歩き出した僕の腕を、急に誰かが掴んだ。
「おい…雅美。そっちは寮とは逆方向だ」
僕の腕を掴んだのはハル君だった。
雅美って、僕の名前を呼んだな。
そうだよな。僕たちは小さい頃から結婚するって言い聞かせられてたんだもん。
名前くらい覚えてるよね…。
「ハル君…!ありがとう!僕、昔からちょっと方向音痴でさ…」
恥ずかしくて照れ笑いをしながらお礼を言うと、ハル君はまたふいっと顔を逸らす。
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