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「ほら、行くぞ。離れるなよ」
ハル君はそう言うと僕の手を取って歩き始めた。
突然手を繋がれてビックリしたけど、迷子にならないように心配してくれてるんだよな。
やっぱり優しい人だな。
仲良くなれたらいいな。
学校の敷地はとても広く、迷子にならないためにも早く内部の地図を覚えないと…と、思いながら僕はハル君に手を引かれて歩く。
ハル君の方が背がだいぶ高くて足も長いのに、僕に合わせてゆっくり歩いてくれていた。
会話はなかったけど繋がれた手の温もりが僕を安心させてくれる。
寮の前でハル君は繋いでいた手を離してくれた。
手が離れる時にちょっと寂しいなと思ってしまったのは何でだろう?
「おや……君たちも新入生かい?もう入寮式は終わってしまったよ」
寮に入ると僕たちに上級生らしき人が声をかけてきた。
華やかな顔立ちと雰囲気に圧倒されそうになる。制服を肩掛けにしているのも普通の人がしたら変に見えそうだけどその人には似合っていた。
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