好きの気持ち

13/26
前へ
/270ページ
次へ
人気のない階段を降りて1階まで行く。 階段下の小部屋は物置になっていて、寮の世話人のおじさんが掃除道具なんかを入れていると聞いていた。 「……………………」 物置のドアがほんの少しだけ開いていて、中から誰かの声がした気がした。 「ハル君、ここから今声がしなかった?」 「しないよ。さ、行こう」 ハル君は僕の腰に手を添えて早く立ち去ろうと促した。だけど………。 「………………うっ」 誰かの苦しそうな声がする。 中で誰かが具合が悪くなって倒れているんじゃないだろうか。 「ハル君、誰か中にいるよ。様子を見てきた方がいいよ」 「誰もいないって。行こうよ雅美」 ハル君は部屋に入りたくないようだ。 誰か助けが必要な人がいるかもしれないのに。案外薄情なのかな。 「じゃあ僕が見てくる」 「雅美、やめとけって…………」
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3146人が本棚に入れています
本棚に追加