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それから会話もないまま食事が終わって、気まずい僕はハル君より先に席を立とうとしたのだけど…。
「おや、君たちこんなところで食べてたのかい?」
寮長に見つかってしまった。
華やかな笑顔を振りまきながら近づいてくる寮長は取り巻きに囲まれていた。
副寮長の原田さんは一緒じゃないみたいだな。
「君たちみたいな綺麗な子が見当たらないなんておかしいなぁと思っていたら…こんな隅っこにいたんだね」
指先でつうっと手の甲をなぞられてぶわっと鳥肌がたってしまった。
なんでこの人いちいち変な触り方するんだろう。
思わず手を引くとハル君が立ち上がって僕を庇うように立った。
「先輩、何かご用ですか?」
「これから僕の部屋で読書会をやるんで君たちも来ないかい?」
周囲の生徒がざわめく。
『あの新入生達、初日でもう読書会に誘われてるぞ』
『羨ましい。一度参加してみたいのに』
僕はそんなの全然参加したくない。
そもそも読書会って何?
本なんて一人で読めばいいじゃないか。
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