はじめての気持ち

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「俺たちは読書会に特に興味がないので」 ハル君が静かにそう言うと皆さん驚いたようだ。 素直に謝るとでも思っていたのだろうか。 なぜその読書会とやらに行きたい人がいるのかもよくわからないのに。 「な、生意気だな。ちょっと顔がいいからって。僕の父は山口運輸の社長だぞ!」 山口運輸……聞いたことあるな。 まあまあ大きいところじゃないかな。 「ああ……山口の。お父さんには何度かお会いしたことありますよ」 ハル君がそう言うと山口先輩は怪訝な顔をした。 自分の父に会った事があるというこの新入生は何者だ?顔にそう書いてある。 「俺の誕生祝いを持ってきてくださいましたね。ありがとうございます」 「お、お前………………何者だ?」 「一条晴です。宿泊業の一条と言えばお分かりですか?」 ハル君の家は日本のホテル王とも呼ばれていて、業界では最大手の会社だ。 山口運輸なんて会社が威張れるような相手ではないと山口先輩も一瞬で悟ったのだろう。しまったという顔をした。 他の生徒たちも一様に黙ってうつむいてしまった。
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