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僕の隣ではハル君が全くの無表情で黙々とお茶を飲んでいる。
部屋に戻ろうとしたところでばったりと寮長に出くわしてしまって、そのまま寮のサロンに連れてこられてしまった。
ハル君はきっぱり断ったのに、僕が寮長のペースに乗せられてしまったばかりについてきてくれたのだ。
「雅美君、君は甘いものは好きかい?」
「はぁ……好き、です」
「じゃあこれを召し上がれ。差し入れでいただいたケーキなんだけどね、ここのは美味しいよ」
宝石のように綺麗なケーキを勧められて、あまりにも美味しそうなのでつい受け取ってしまった。
「晴君も召し上がれ」
「俺は甘いの好きじゃないので結構です」
ぴしゃりと断られても寮長は楽しそうな笑みを崩さない。
なぜ男三人でケーキ食べて紅茶を飲んで…優雅なお茶の時間を過ごしてるんだろう。
もぐもぐケーキを食べていると先輩が目を細めて僕のことを見ている。
「何かついてますか?」
「口元にクリームが………」
寮長が僕の顔に手を伸ばそうとすると、横からハル君の手が伸びてきて親指で僕の口元のクリームを拭う。
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