はじめまして

5/32
前へ
/270ページ
次へ
勇気を出して誰かに寮の場所を聞こうと思ってキョロキョロ辺りを見回していた時に、向こうから歩いてくる一人の生徒に目を奪われた。 僕と同じ新入生だろう。 スーツケースを押しながら歩くその人は、180センチ以上ありそうな長身で、さらさらの黒髪に整った顔立ちのモデルのような男子生徒だった。 同じ人類で…同じ男なのに僕とは違いすぎる。 足とか長すぎるだろう…。 彼の周りだけ纏う空気か違って見える。 口をぽかんと開けて見蕩れていると、その人はどんどん僕の方に向かって歩いてきた。 はっ! 間抜けな顔でずっと見ていたから怒らせたのかもしれない………。 真っ直ぐ僕の方に歩いてくると僕の前でぴたりと止まって僕の顔をじっと見た。 「あ、あの、すみません。じろじろ見ちゃって…気を悪くされましたか?」 無表情なので彼が何を考えているのかわからないけれど、ここはとりあえず謝っておく。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3146人が本棚に入れています
本棚に追加