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怖くて目をつぶったところで先輩がぐえっと変な声を出した。
腰に回された腕が離れる感覚があり、おそるおそる目を開けてみる。
ハル君がいる。
氷のように冷たい表情で先輩の胸ぐらを掴んでいる………。
「雅美に……触るな」
「な、なんだよお前…。この子の彼氏か?」
彼氏………ではないよな?
許嫁とは言われてるけど、付き合ってはいないもんな。
「そうだ。雅美は俺と付き合っている」
「ええっ?!」
思わず大きい声を出してしまった。
付き合ってたの?僕とハル君。
いつから?
「だから雅美に手を出したら許さない」
そう宣言するとハル君は先輩の胸ぐらを掴む手を緩めて僕の方に近づいてきた。
「雅美、大丈夫?怖かったんだね。可哀想に…こんなに震えて」
先ほどの冷たい表情はもうない。
ハル君は、ただ僕を心配する優しい顔をしている。
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