君の笑顔

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「ハル君普段バスなんて乗ることあるの?」 「いや、ないな。すごい新鮮だよ。降りる時にこのボタンを押すんだろ?」 物珍しそうに降車ボタンを指すハル君。 御曹司だもんな。 こんな庶民的なバスに乗ることないよな。 降車ボタンにずっと指を掛けている。 押したいんだね。 可愛い一面を見て胸がほっこりする。 15分ほどバスに乗って海に到着した。 無事に降車ボタンが押せてハル君は満足そうだ。 15分間ずっとボタンを押そうとスタンバイしてて面白かったな。 「うわぁ………気持ちいいね」 潮風が心地よい。 大きくはないけど綺麗な砂浜もあって、早く近くまで行きたくてハル君の手を引っ張った。 ハル君は繋がれた手を優しく握り返してくれた。 そのまま二人で砂浜まで走る。 「綺麗な海だね。学校から見るより近くで見た方がずっとずっと綺麗!」 「本当だね。すごく綺麗だ」 海を綺麗と言いながらハル君は海なんて全然見ていない。
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