3138人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハル君、ちゃんと見てる?」
「見てるよ。海を見てる雅美が綺麗だなって」
な、何を言うんだ。
さらりとそんなことを言わないでよ。
何て返したらいいのかわからないじゃないか。
「もっと近くまで行ってみる!」
「雅美、濡れないように気をつけてね」
寄せてはかえる波を追いかけて水辺で遊ぶ。
時々逃げるのに失敗して靴はもうびしょ濡れだ。
四月の海水はまだ冷たくて。
濡れた靴がだんだん寒くなってきた。
「雅美、そろそろ上がった方がいいよ」
「うん。そうする」
砂浜の砂が乾いているところまで行って靴を脱いだ。
砂、あったかい。
こんなに靴が濡れてて帰りはどうしようかな。とりあえずその辺にあった棒を使って靴を乾かし始めた。
「靴、濡れちゃった」
「帰りは俺がおぶって行くよ」
「ええっ!いいよ!僕が勝手に靴を濡らしたのにそんな迷惑かけられないよ」
ぶんぶんと首を振ってお断りをする。
少し乾かせば大丈夫なはず。
「でも、乾くまでちょっとここで一緒に待ってもらってもいいかな?」
最初のコメントを投稿しよう!