君の笑顔

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敷居が高くて一人なら絶対入れないような店に、先輩は僕たちを引き連れてどんどん中に入っていく。 「母さん、後輩連れてきた。何か食べさせてやって」 奥から出てきた品の良い和服の女性が、あらあらと微笑む。 先輩に目元がよく似ていた。 「ずいぶん可愛い後輩ができたのねぇ。あら………貴方は一条さんとこのお坊ちゃんかしら?」 「はい。今日は突然お邪魔して申し訳ありません」 女将さんはハル君のことを知っていたようだ。ハル君、有名だなぁ。 「英介が一条さんとこのお坊ちゃんと仲良くなるなんて嬉しいこと。奥のお座敷にお通ししてね」 「ありがと。さ、お前ら来いよ」 長い廊下を歩いて一番奥のお座敷に通された。 広いお部屋に立派な掛け軸。 高そうな置物もいっぱい置いてある豪華な部屋だった。
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