君の笑顔

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中庭の噴水のところに行くと、そこには先客がいた。 この顔はどこかで見たことがある……渡された写真の男の子だった。 『こんばんは』 にこにこと笑うその子は俺が許嫁だとは全く気づいていない様子だった。 なんとなくその子と話すうちに、その子がすごく素直ないい子だと気付いた。 パーティーがつまらないこと。 ご飯は美味しかったこと。 デザートのお菓子に自分ちの和菓子があればよかったのに、など初対面の俺に色々話してくれた。 その子が素直に色々話してくれるので俺も気が緩んだのだと思う。 何もかもが自分の思うようにならないことを話したんだと思う。 何も手に入らない。 どこにも行けないと。 その子は少し困った顔をした後、そんなことない!と力強く言った。 『今日は自分で決めてパーティーをぬけだしてきたんでしょう?ほら、行きたいところには自分で行けるんだよ。どこにだって行けるよ』 にこにこ話す彼に、そんな単純な話じゃないと少し腹が立ったんだと思う。
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