君の笑顔

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そのまま何度かキスを繰り返し、二人で畳にごろごろしながらお庭を見たり他愛のない話をしたり。 そしてまたキスをしたり……。 気付けば辺りは夕焼けに染まり始めていた。 「女将さん、お世話になりました。あの、お代は………」 「一条さんとこのお坊ちゃんから頂けませんわよ。それにそちらのお坊ちゃんは八代みどりさんのお孫さんなんですってね。私、大ファンなんですよ」 女将さんはお代を受け取ってくれなかった。 英介と仲良くしてやってくださいねと深々と頭を下げられて僕たちは料亭を後にした。 生乾きだった靴は綺麗に洗って乾かしてくれてあった。 さすが一流のお店は違うなと感心する。 「ハル君、今日は楽しかった。ありがとね」 「俺も楽しかったよ。また出かけようね」
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