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大事なもの
僕が電話するとハル君はすぐに部屋に来てくれた。
目が回って動けなくなっている僕を見て驚いた様子だったけど、すぐに僕を抱き上げてベッドに寝かせてくれる。
それから戸棚を開けて喘息の薬と解熱薬を出して僕に飲ませてくれた。
汗をかいた体を拭いてパジャマに着替えさせ、氷枕を用意して脇に抱えさせてくれる。
熱でぼんやりしている僕はされるがままだ。
ハル君、お坊ちゃまで誰かの看病なんてしたことないだろうに手際がいいなぁなんて他人事のように思っていた。
「雅美、後はゆっくり休んで」
僕の頭を軽く撫でてハル君は部屋の電気を消した。
もう行っちゃうのかな……寂しいな。
ハル君の上着を思わず掴むと、ハル君は柔らかい笑顔で「ここにいるから安心して眠って大丈夫だよ」と言ってくれた。
ハル君に大丈夫だよと言われて安心したのか…そのまま僕は眠りに落ちていった。
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