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「いよいよだな」
司令官は決然とした声でそう言うと、私の肩に手を置いた。
「ええ、任務の重大さに少々怖気づいております」
私は正直に答えた。
「君なら大丈夫。きっとやり遂げる」
「ありがとうございます」
司令官の言葉が間違いだったことはかつてない。私は多少自信を取り戻した。
「では早速旅立ってもらおうか。あわただしい出発ですまんが……」
「いいえ。一刻を争う事態だというのはわかっております」
「頼むぞ。クルーたちの用意はいいか?」
「はい、すでに準備を済ませ、乗り込んでいます。……優秀なクルーたちです」
「ああ、私と君で選んだんだ。間違いない」
私は船へのタラップを歩きながら、司令官に最後の質問をした。
「司令官は本当に乗船されないのですか」
「残る者も必要だ。私は最後までウイルスと戦い、君たちを待つ」
やはりこの人は最高の司令官だ。私は司令官ヘ向かって敬礼した。司令官は敬礼を返し、言った。
「人類を救ってくれ」
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