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「どうだ、ユーノ、アンナ。何か見つかったか?」
私は船内から通信で、船外探査に出かけたユーノ隊員とアンナ隊員に呼びかける。
「だめです、艦長。何も見当たらない」
「温度が高過ぎるわ。酸素濃度も低い。これでは植物は生存できない」
私はがっくりと肩を落とす。この星に植物がないとすると、次の星まであと20年はかかる。暗澹たる思いにおそわれたが、気を取り直し、二人に言う。
「わかった。船内に戻ってくれ。次の星へ向かおう」
「わかりました船長」
二人の声からも、落胆の響きが読み取れる。私は二人を励まそうと、こう続けた。
「気を落とすな。地球には司令官がいる。必ず生き延びてくれるさ」
「ええ……」
「わかってます、艦長。では戻ります……」
その言葉を確認し、ため息をつく。そして椅子に深く沈み込んだそのときだった。
「……まってくれ! なんだこれは」
ユーノ隊員の声だった。私はすぐ起き上がり、呼びかける。
「どうした、ユーノ。トラブルか?」
「いや、そうじゃない。ちょっと見てくれ、アンナ」
「これは……! 大変だわ」
「どうしたんだ、一体何があった?」
額に汗が浮かぶ。二人のバイオモニタを見ると、ユーノとアンナの脈拍が異常に上がっているのがわかる。緊急事態を想定して、私の脈拍も急上昇する。
「二人とも! 報告するんだ。一体何が……」
「植物だ!」
私は聞き間違いかと思って、大声で問いかける。
「なんだって?」
「植物です、艦長! 植物が生えてる!」
まだ信じられず、私は再度訊き返す。
「本当か。本当に植物なんだな」
すると、アンナ隊員の嬉しそうな声が響いた。
「やったわ、艦長! この環境で生きてるってことは、生命力の強いやつにちがいありません」
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