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髪型の話
「なぁ、お前って髪短くしたりしないの?」
「まさか澤くんは短い方が好き…?俺としたことがリサーチ不足だった。ちなみにあと何センチくらい短い方が良いか具体的に」
「めんどくさいからいい、ストップ変な妄想。別に短い方がどうとか言ってないし」
「じゃあ長い方が…?」
「どっちでもいい」
「それはつまりそのままの俺が」
「会話がおかしな方向に…。違うよ、俺が言いたかったのはただイメチェンとか興味あんのかなーってこと。クラスの奴らがそんな話してたから」
「あー、アレかぁ…」
「アレ?」
「いや何でもない。イメチェン、ねぇ。…苦手だけど今頑張ってるところだよ」
「今イメチェン中なの?」
「まぁね」
「ふぅん?」
「ちなみに俺は自分の髪型にあんま興味無いから、特に伸ばそうとも切ろうとも思わないなぁ」
「イメチェン中なのに?」
「それはまぁ、別のところね。髪型は別に…澤くんに拘りが無いならどうでもいいかなぁ」
「俺が短い方が良いって言ったら切るの?」
「秒で」
「それはちょっと…引くわぁ」
「泣くわぁ」
「長い方が良いって言ったら?」
「伸ばすー」
「何で俺次第なの…。まぁお前は短髪でも長髪でも似合うんだろうけどさ」
「ありがとうあいしてる。ところで澤くんは髪伸ばしたりしないんだね」
「さらっとぶち込んできた…。俺はまぁ、短い方が楽だし動きやすいから」
「でも短いと結構マメに切らないとだよねぇ。うなじが見えて超絶似合ってるけど」
「もう突っ込まねぇぞ。行きつけの店があるんだよ。小学生くらいの時からお世話になってる床屋さんみたいな」
「ちなみに担当の人は?どんな人?」
「もう結構おじいちゃんかなぁ。でも腕は衰えてないって自分で言ってた」
「おじいさんか…。でも定期的に合法的に髪を触ってるのでやっぱギルティ…」
「あの…。何ぶつぶつ言ってんの?」
「あ、いや?何でもない!今度俺も連れてってよ、そのお店」
「やだよ、何で?」
「何でって、見てみたいじゃん。澤くんが小学生からお世話になってるんでしょ?」
「別に見ても面白くないと思うけど…」
「じゃあ今度一緒に髪切りに行こう」
「やだよ」
「何でー?」
「何かやだ」
「じゃあ勝手に行こう」
「場所分かんないくせに」
「だから連れてって欲しいんだけどなぁ」
「はぁ…。まぁ気が向いたらな」
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