魔法の時間

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八月XX日  人生最高の日。お父さんとお母さんが私とこうちゃんの結婚も、私が赤ちゃんを授かっていることも受け入れてくれた。 「俺、実日子(みかこ)の父ちゃん、母ちゃんには一生頭が上がらないなぁ」  うちへの挨拶を済ませたあと、駅まで歩いていたら、こうちゃんがそう呟いた。無傷の両頬をさすっているのがどこかおかしかった。  あとで、親にどうしてすんなり許してくれたのかって聞いたら、こうちゃんが私より年上で仕事をしていたことと、お母さんたちは私をなかなか授かることができなかったから、私たちに赤ちゃんを喜べる気持ちがあるなら応援したいと思ってくれたんだって。  大学はあと一年半だし通えるところまで頑張って、そこからは休学予定。産んだあとは、お母さんが手伝ってくれるって。全力で私を支えてくれるお父さん、お母さん、こうちゃんにはどんなに感謝してもし足りない。本当にみんなに頭が上がらないのは私の方。
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