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ある日、貴美子は酒に酔った客に無理難題を言われて困った事があった。
「ネエちゃん……ビールだ……それから日本酒な…
あとイカの塩辛とサバの煮付けを持って来てくれ。」
「お客様…当店は昼間の時間帯のアルコールはお出ししていないんです。 それからイカの塩辛もサバの煮付けもメニューにございませんので……。」
「ああ? お客の注文に応えられない……って言うんだな? 良い度胸してるじゃねえか! はあ? 店長呼んで来いよ! ふざけんじゃねえぞ!」
「お客様…相済みません…今日、店長は休みでして……。」
とうとう酔ったお客はテーブルをひっくり返して暴れ出した。
その時に、田中祐介は池上貴美子をかばい…お客を組み伏せた…。
………………………
直ぐに警察に連絡して、その酔った客は警察署に連行されて行った。
「田中君……ありがとね、助かったわ…。」
「いや……当然の事をしたまでですよ…池上さんにケガが無くて良かったですよ…まったく酔っ払いには困ったもんです。」
「本当に有り難う…いつか恩返しさせてね…。」
「ああ……いつか…。」
…………………………
それからの二人は仲良しに成った…
仲が良く成りすぎてイタズラもしてみた。
祐介は貴美子の頬にホイップクリームを付けて…二人笑い合ったりもしたし…
貴美子も負けじと祐介の顔にイカ炭を付けたりして…ふざけた。
祐介と初めて一緒に仕事をし始めたのが祐介が16の時で……
二人が仲良くなったのが祐介が17に成った時…。
その頃から祐介は本気とも冗談とも取れる言い方で…貴美子に誘い言葉を投げ掛けていた。
「貴美子さん、綺麗だねえ…。 俺さあ…一度で良いから貴美子さんとデートしたいな…。」
祐介のお誘いは しつこさが無くて、サッパリしていた…。 誘い文句を言った後2~3日は何も要求するでも無かったから……
貴美子は逆に
『あのお誘いはどうなったのかな……?』
と思ってしまうのだった。
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