第5話 貴美子と祐介の別れ

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貴美子と祐介は『別れ』をして…… 同僚の関係に戻るハズだった。 「野郎! 何で俺の言うことが分からないんだ! いい加減…仕事 覚えろよ!」 貴美子は祐介が厨房でアルバイトの男の子に殴り掛かろう…としている処を止めに入った! 「あっ!…………痛い!」 貴美子は運悪く振り上げた祐介の拳を顔に受けてしまった……。 「池上さん……すみません。」 田中祐介は一言謝ると店の外へ飛び出した。 「困った子ね……。」 貴美子は かばったアルバイト男子に作り笑いをした。 結局……祐介は…その日を含めて3日間厨房のアルバイトを休んだ。 「池上さん、どうも すみませんでした…。」 そう言いながら出勤してきた田中祐介は顔やら腕にケガをしたのか…包帯やら絆創膏を貼っていた。 「そのケガ……とうしたの?……」 「ムシャクシャして若い兄ちゃんとケンカしてしまって……。」 「そうなんだ……。」 貴美子は祐介との火遊びが…こんな所にまで及んだのかと反省する気持ちになった。 「ゴメンね…… 最初から良い顔しなきゃ良かったわ……優柔不断で……悪かったわ…。」 貴美子は仕事中だったが、少し隙な時間に 祐介に声を掛けた。 「俺のほうこそ……池上さんは結婚してるって分かってて…… 付き合って欲しいと言った訳だから……。」 祐介の言葉には優しさが感じられ…… 貴美子の中に引きずられる思いが湧いた。 [ダメダメ……ここで気を許したら、また地獄行きだ……。] 貴美子は自分の心に蓋をした。
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