第1話 貴美子と祐介との出逢い

4/12
92人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
貴美子はパートを始めるようになってから… 平日の休みの日は友人と昼間に食事したり、お茶をしたりしていたから… 休みの日に祐介と会う事は可能だったが… 旦那に内緒で男性と過ごす事は、後ろめたい気持ちがあった。 約束した月曜日の朝10時には…貴美子はサングラスと大きめの帽子を用意し、知り合いに会わないように気を使っていた。 「やあ……池上さん、お待たせ…。」 「田中さん……。」 「どうぞ……乗ってください。」 祐介も品良くサングラスをしている…。 「学生なのに豪勢なものだわ…。」 「いや…車だけですよ。 食生活は質素なもんです…。」 「じゃあ…今日は栄養のあるモノを食べて貰わないとね。」 二人の会話は弾んだ……仕事上でもコミュニケーションを良く取っているからだろう…。 ………………………… 食事は無難な焼肉チェーン店に行った。 「やっぱり若い男の子は焼肉でしょう…。 いっぱい食べてね。」 貴美子は日頃の感謝を込めて祐介に食事を奢った。 「池上さん、ご馳走さまでした。 少しドライブしませんか……海の見える景色が綺麗な所 有るんですよ。」 貴美子が反対しなかったので、祐介は少し海沿いの道を行った処で車を左に寄せて停めた。 砂浜を二人歩く時に…砂に足を取られるので、 貴美子は自然に祐介の腕を取って歩いた。 「貴美子さん……学生の頃はどんな感じだったんですか? モテたでしょう…。」 「エエッ……全然だよ……祐介君が言ってくれるような可愛い娘じゃなかったからね……。」 「そんな事ないでしょう……僕は貴美子さん 美人だと思いますよ。」 「女は化けるのよ……きっと化粧のせいよ……学生時代は綺麗だなんて 言って貰った覚え無いもの…。」
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!