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僕が家出したのは金曜の夜だったので、学業には影響はなかった。月曜日、直樹君に漫画の件を聞かれて、全部正直に話すと大変だったんだなと肩を叩かれた。
「でも、何かふっきれたんだ。イサオさんに出会わなかったら、僕はまだお母さんに怯える日々を過ごしていたかも。叱責されるのが嫌で、良い子を続けてたかも。立ち向かう強さをくれた事を感謝してる」
「良い人に出会えて良かったな」
「うん、出会ったのが乱暴な人だったら、僕は今ここに居ないかもね。家出はいけない事だと分かっているし、不謹慎な発言かもしれないけど、やっちゃって良かったなと思ってるんだ。反抗した事で、変わるきっかけが出来たし」
直樹君は僕が貸した児童文学作品をパタンと閉じて、読み終えたぞ、今回も面白かった!と僕に本を差し出した。受け取ろうと手を伸ばした僕に、なあ…と直樹君は声をかける。
「今度、俺の4年の時の友達を紹介するよ。格闘ゲームが凄く得意な奴で、俺1度も勝てた事がないんだ。修君、多分ゲームもやった事ないだろ?楽しいから今度みんなで遊ぼうぜ!」
僕はうん!と頷いた。1人だった僕に、最初に声をかけてくれたのが直樹君で良かったと思った。彼は僕の世界をどんどん広げてくれる。有難う、直樹君。
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