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「時雨、今から俺を満足させろ。」
「はい?いや、だって昨日したばっかりですし、安静になさらないと……。」
そうは言っているものの、時雨の頬はうっすらと赤く染まり始めている。期待なのか、俺の言葉に身体が疼いたのか。どちらにせよ、今は時雨の肌の熱が欲しい。
「お前と肌を重ねると呪詛が和らぐんだよ。」
これ以上は、問答無用。容赦なく無防備な唇を奪った。
「んぅ………!?ふ……う…………んん。」
悪夢を見たときは、信頼出来る者の熱が一番落ち着く。時雨に深く口吸いしながら、その身体を押し倒した。
流石にやり過ぎたかもしれない。白濁が出なくなっても続けて達かせてしまったせいで、時雨はぐったりと髪を乱して茵に裸体を埋めている。ぜいぜいと肩で息をする時雨の身体を濡れた手拭いで清めるだけで、何度もびくりと身体が跳ねた。
「時雨、大丈夫か?」
これは文句でも言われてもおかしくないだろう。どんな文句を言われるのだろうと身構えると、予想に反して俺の頬に優しく手が添えられた。
「は……い……。若様は、……っ……落ち着かれましたか?」
快楽で涙に濡れた顔で、時雨は俺に微笑む。それのなんと愛おしいことか。時雨の首筋に口付けすると、時雨は微かな甘い吐息を漏らした。
「ああ、落ち着いた。お前のお陰でな。」
時雨はほっとしたような顔をすると、目を瞑った。愛おしい俺の懐刀。
どうかお前をこの城で蠢く醜い争いに巻き込むことがないといいのだが。政暁は苦しそうな顔をすると、時雨を抱きしめた。
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