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西陽の差し込む部屋だ。
机と椅子、あとぎっしり書類や書物の詰まった棚など……狭苦しい空間に圧迫感しかないこの場所。
鍵をかけたそこに、俺達はいた。
「ぅ……っ……ふ、ぁ……っ……」
「ほらもっと、頑張らないと終わんない、よ?」
生徒に見下ろされながら、そいつの下半身に身体を寄せて跪く。
口に咥えさせられたのは男性器。
―――俺はこのクソガキに脅され、口で奉仕させられている。
呼び出されて早々、見せられた写真は数十枚。
……よくここまで撮ったものだ、と場違いな感心をしたのは一瞬。
すぐに卑劣な要求を突きつけられる。
『まずフェラして』
暗い喜びに満ちたその瞳に怖気を感じた。
躊躇していたら、首根っこ掴まれて押し付けられたズボン越しのそれは大きく兆しており。
泣きそうな気分で見上げたら更に固くなる。
『いいの? 飯島のとこ家庭崩壊起こしちゃうなぁ』
楽しそうに呟く言葉に俺は負けた。
「んん……ぁ、ぅぐ……ぇ……っ」
えずきそうになりながらも、必死で咥内に迎え入れたそれはおそらく一般的な成人男性の平均より僅かに大ぶりだろう。
フェラするなんて当然初めてで、してもらったことしかないが。女性の苦労が初めて分かった気がする。
「ははっ、その顔めっちゃエロいね」
……くそっ、このエロガキめ。
おおよそ性処理と嫌がらせを両立させてやろうという魂胆だ。
一発抜けば頭も冷えるだろう。それを期待するしかない。
「んっ、いいよ……ん、っ……う、くぅ……」
詰めた息、限界が近いらしい。あとは手でイかしてやろうと、右手で根元を握れば。
「こら、ダメだろ」
「!? ぉぐぅッ……んーっ、ぅぐッ……!」
両手をまとめて抑えられて、無理やり喉の奥に突っ込まれた。
呼吸を奪われ、酸欠と吐き気で瞼の裏がチカチカと光が瞬く。
「んっ……く、ぅ……せ、せんせ……も、もう……っ」
髪を乱暴に掴まれて、叩きつけられるように喉の奥を掻き回される感覚に聴覚の端に触れた、彼の小さな喘ぎ。
同じ男なもので、もう終わると瞬間的に悟るが……。
「っ……く、……先生っ、飲んで……!」
「ぅぐっ……ぉ……ご……っ……ゲホッ、ゲホッ……」
雄特有の味と臭いが広がり、思わず咳き込みながら床に吐き出す。
「あーぁ……飲んでって言ったじゃん」
詰る言葉の裏腹に、その声はとても楽しげで。
蹲る俺の背中をゆっくりと撫でていた。
「も、もうっ、気が済んだだろ……!」
キッと睨みつける。なけなしのプライドと自尊心。それもあっさりと崩れ去ってしまいそうだったが。
「ん? ああ、写真ね」
ポケットから出された写真は、見せられたモノの数倍。
それらがバラバラと上からぶちまけられる。
「これ、全部だよ。データも全部消してあげる」
優しげな声。全ての写真を掻き集めながらも。
……ああ、これでもう終わったんだと、そう泣きたくなる程の安心感と共に顔を上げた。
「先生。ほらこっち見て」
「!? 」
スマホを構えた彼が、声だけ穏やかに。意地の悪い笑みを深めている。
「た、橘……? なにを……」
思考停止で呟いた。
「何って。先生、こっち記録してたから。もうその写真要らないよ。この意味、分かる?」
「そんな……」
今度はそれをネタに脅すってことかよ。
希望が絶望に、安堵から叩き落とされた衝撃で言葉が継げない。
そんな俺をなおも撮影しながら、このタチの悪い生徒は髪を撫でてうっそりと微笑んだ。
「これからも、よろしくね。先生?」
……知らずに落ちた雫が頬を伝って、握った拳に落ちた。
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