2人は

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「俺が料理人になったら…またここで会ってくれますか?」  颯一郎は爆発しそうな鼓動を感じながら、意を決して言った。膝が震えた。  後藤は真っすぐに颯一郎を見つめ、一瞬驚いた様子だったが、すぐにいつもの穏やかな笑顔に戻り、一呼吸置くと大きく頷いた。  次の瞬間、颯一郎は膝から崩れ落ちた。慌てて後藤が駆け寄り、颯一郎の脇を抱えた。  颯一郎は情けないやら嬉しいやら複雑な心境だったが、大きな目標を得たことで飛び上がりたい衝動に駆られた。  後藤に支えられながら、2人は川沿いの道を進んだ。  その後姿は、腕を組んで歩く恋人のように映った。
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