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名前を呼んで
京都から戻った颯一郎は、和食の基本的な技術を本で調べ、家で実践した。
少しでもものになって、現場に立ちたい。それは実際の現場を見たこともあったが、何よりも後藤に誓った約束が、その原動力になっていた。
学校での2人は、京都での出来事はまるでなかったかのようにそっけなかった。しかし、京都での別れ際に連絡先を交換したことが、颯一郎にとって強い絆のように感じられた。
数か月後、颯一郎は高校を卒業した。
そしてすぐに京都へと移り住み、あの日見学に訪れた1軒の旅館で見習いとして働くことになった。幸い職員の寮へ格安の値段で居住でき、毎日汗水たらして料理の修行に没頭した。
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