名前を呼んで

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 高校を卒業して3か月、まだ厨房での下働きだったが、充実した日々を送っていた。時折寂しさを覚えることはあったものの、後藤との約束が颯一郎の背中を押していた。  久しぶりの休日。颯一郎は後藤と約束した橋へ向かっていた。早朝、辺りは少しもやに包まれていた。歩くこと15分。目的の場所に辿りついて、今しがた自分が歩いてきた橋を振り返った。  何にも考えていなかった子供じみた自分が、今、単身見知らぬ土地で腕を磨いている。そこには大勢の人たちの支えがあったことを、颯一郎はゆっくりと流れる川を見ながら噛みしめていた。 「颯一郎くん」
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