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振り向くと、後藤がいた。
今日、颯一郎は後藤と会う約束を交わしていた。
後藤はあの日と変わらない笑顔で颯一郎を真っすぐ見つめていた。
颯一郎は何も言わずに後藤に近づき、ゆっくりと強く抱きしめた。
後藤は虚を突かれたように全身を硬直させたが、次の瞬間、颯一郎に身を預けるように、颯一郎の背中に手を回した。
「ありがとう…美鈴」
颯一郎は今にも泣き出しそうな声で、小さく耳元に囁いた。
美鈴は何も言わず、颯一郎の胸に顔をうずめた。
2人を照らす朝の光は辺りのもやを一層させ、ゆっくりと流れる川を輝かせながら、眩い光を放ち続けていた。
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